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訳語の検討

金澤-------
たとえば、先のregulatory standardは、以下の文章で登場します。これを忠実
に訳すと訳例1のようになるかもしれませんが、私としては訳例2の方が使いや
すいと思います。

Comparisons with a regulatory standard: The amount of arsenic in a
city’s drinking water compared with the standard set by the
Environmental Protection Agency.

訳例1
規制のための基準の比較:市の飲料水に含まれるヒ素の量と米国合衆国環境保護
庁(EPA)による設定基準を比較する。

訳例2
基準値との比較:水道水に含まれるヒ素の測定データを厚生労働省所管の水道法
で定められたヒ素濃度の基準値と比較する。

梅村--------
「米国国家毒性プログラム(べいこくこっかどくせいプログラム、英: National Toxicology Program 、略称:NTP)とはアメリカ保健社会福祉省が実施している化学物質の毒性研究をまとめ、発がん性物質の分類、試験を行う計画である。…」

> > second hand smoke 間接喫煙
> > radon particles ラドン粒子
> > regulatory standard 規制基準
> > organophosphate pesticide 有機リン系農薬

金澤---------
> 新たな専門用語につきまして、梅村様の訳語で良いと思いますが、"second
> hand
> smoke"については、「間接喫煙」でググると、「受動喫煙」ばかりが表示される
> ので、間接喫煙よりも受動喫煙の方が馴染んでいるのかもしれません。
> "regulatory
> standard"については、出てくるのがp.70の囲いの中の一カ所だけ
> なようで、この文章では「基準値」としても良いかもしれません。このヒ素の話
> については、厚生労働省の以下の文書が参考になると思います。
> http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/dl/k08.pdf
>
> 水道水の基準値は、発がんリスク10万分の1以下を目指して決めるのが基本です
> が、現在のヒ素の基準値は、10万分の1よりもはるかに大きいという指摘があり
> ます。ただし基準値を厳しくすると、基準をクリアできない水道水が続出し、か
> なりの対策費が必要になります。基準値を上げる(対策費をかける)べきか否か
> は、それこそリスクコミュニケーションが必要な話と思います。

# by focusonrisk | 2011-07-14 07:40 | 用語集

聞き取り調査実施覚え書き

聞き取り調査実施覚え書き

1.記録のまとめ方針
・時期、参加メンバー、などフェイスシート的情報を記載する。
・ 当日確認できなかった事象の日時や事実について、補足があれば、脚注とする。
・ 公表する際には、「学んだ視点」「ふりかえり」など、分析と評価の視点をプロジェクトチームや聞き取り担当者として入れる。

2.記録作成のすすめ方
・ 聞き取り対象とさせていただいた先方に確認を取る。確認は一週間程度でお願いする。
・ 確認後に、プロジェクトチーム全体で共有する。同席したチームメンバーからの追加情報を求める。
・ 必要であれば、再度確認をとる。これは電話やメールなどで、すばやく行なう。
・ プロジェクトチームとして内容の活用、公表の方法を検討する。
・ プロジェクトの成果については、聞き取り対象の先方にお伝えする。

# by focusonrisk | 2011-07-11 17:43 | 聞き取り調査

環境情報コミュニケーションズ 大歳幸男氏

実施日時  2011年6月27日 16時から17時30分
対象    (株)環境情報コミュニケーションズ   大歳幸男さま
聞き取り調査者  *角田尚子、梅村松秀、角田季美枝、福田典子
点検の視点資料「環境教育としてのプログラム評価の視点」第一次とりまとめ

1.現在の日本社会におけるリスクコミュニケーションの課題

わたしが専門にしているリスクコミュニケーションは化学工場と近隣住民の間をつなぐもの。現在、化学工場から排出されるリスクは決して高くない。住民にとってはほとんどわからないし、においなどが気になるなどの具体的な事柄がない限り関心も低い。PRTRをきっかけにリスクコミュニケーションを日本でも普及させようとしてきた。健康影響がない限り、求められない。環境における化学物質の問題について、授業でとりあげてもらえるように働きかけていくことも必要だろう。

2.日本社会に対しての貢献

環境リスクを低減させる、汚染を少なくするというような住民ニーズと企業とをつなぐことはできてきたのではないか。

3.今後に活かしたいこと

コミュニティを自分たちで守るという意識がない。すべて法律や行政による規制にたよっている。だから住民・企業・行政という三者によるリスクコミュニケーションのニーズがない。工場に対する要望を聞いても、「通勤の車による渋滞問題」のような話が出てくる程度。
地域の団体、町内会なども、そのようなコミュニティ意識があるわけではない。
まわりに住民がいないところで操業を開始したのに、住宅地開発がすすんで、対話が必要となるといったケースが多く、住宅地にこれこれしかじかのリスクのある施設を作りたいから、リスクコミュニケーションから入るというようなケースは少ない。

4.今後のプログラムなどへの提案

沈黙の春などDDT、ダイオキシン問題など、環境における化学物質の問題提起からリスクコミュニケーションは始まっている。行政が法制度を整備することで対応してきた。ハザードマップや工場の情報公開などをすすめようとしたが、テロの対象になるのではないかなど、公表はすすんでいない。
震災が化学工場に与えた影響など、今後明らかになるだろう。
リスクコミュニケーションとは、平常時のもののことで、事故時は、出た物質の残留性や風向きや避難指示などが優先される。重金属の流出などもあるだろうから、理解をすすめる上で、いいチャンスだ。これまで、リスクコミュニケーションと言いながら、行政が上から教えようとしてきた。自分たちで議論するためのハンドブックのようなものがあればいい。

人は「最初に聞いたもの」を信じる。リスクコミュニケーションで大切にしたいことは「これらのことを聞いて、あなたはどう思うか?」なのだが、最初の壁はなかなか変わらない。背景にはリスク・リテラシー、コミュニケーション能力、メディア・リテラシーなどの問題があるだろう。日本の「権威」に弱い風土もあるかもしれない。

多様性を尊重する文化へと、日本は抜け出せていない。
自分では考えようとしない。立場で考える。最初の刷り込みから抜け出せない。
合意形成のためのプラットフォームづくりが下手。

いま、大学生を対象に、リスクコミュニケーションの基盤づくりを試みているが、同じような壁を感じている。

# by focusonrisk | 2011-07-11 17:41 | 聞き取り調査

JAEA リスクコミュニケーション室 高下浩文氏

実施日時 2011年6月27日  13時30分から15時30分
対象  JAEA リスクコミュニケーション室 高下浩文さま
聞き取り調査者 *角田尚子、梅村松秀、角田季美枝、福田典子
点検の視点資料「環境教育としてのプログラム評価の視点」第一次とりまとめ

1.現在の日本社会におけるリスクコミュニケーションの課題

JAEAのリスクコミュニケーション室は10年ほど前に始まりました。結論から言うと、二つあります。一つは欧米と日本の違いがあると思っています。個人的な意見を言わない。単一民族で多様性に慣れていない。リスクコミュニケーションのために住民参加のメンバーを選ぶ時、多様性を考慮することが求められます。しかし、それが難しい。また、話し合いの場でも、権威になびき、少数派を尊重しない風土があります。そこが多様性が当たり前の社会との違いだと思います。
小さい頃からの慣れなのでしょう。

二つ目は、リスクコミュニケーションには、住民、事業者、行政の三者が対等な立場で参加することが大切です。しかし、知識情報をもっている側が力をもってしまう。一方で住民側にも責任ある参加の覚悟ができていない。

今回の事故で、気づくことは、リスクコミュニケーションというのはリスクの存在を前提にしている。リスクというのは確率なんです。原子力施設は、基準値内ではありますが、放射性物質は一部出ている。しかし、住民は知らないし、住民感情としては、そのことを受け入れられない。「絶対安全」、ゼロリスクが求められているように思います。

問題提起をしているのは東海村の住民よりも、その回りの地域の人です。東海村にはベネフィットがある。多少のことは問題にしない。

リスクコミュニケーションが大切だということになったのは、1999年のJCOの事故以来です。信頼回復のために取り組みが始まりました。その頃JAEAは「動燃」と呼ばれていた時代です。1995年のもんじゅのナトリウム漏れとか、1997年東海におけるアスファルト爆発火災など、二年に一回ほどの事故が続き、原子力に対する厳しい目が続きました。再処理施設を再開させるために東海村との9項目の約束をかわしました。そこに、村から地域とリスクコミュニケーションをしなさいよ、という項目が入っていたのです。ニーズや不安に答えてほしいと。

そこで、2001年、研究班をその当時の東海事業所内各部からの構成員でつくり、20ヶ月で仕組みづくりを行うことになりました。事務系からの参加者も入れました。結局、その後もとりまとめを行う「室」を残すこととなり、2005年から8-9人の体制で始まりました。現在は6名になっています。

2.日本社会に対しての貢献

少ない資源の国で、エネルギーを得るために核燃料サイクルの確立をめざす。そのためには、国民の理解を得て、事業をすすめていく必要がある。そのために、ニーズや不安に対して、答えていく。
リスクコミュニケーションはいまの体制では一週間に一回ほどしか実施できません。これまでは茨城県内での実施が求められていたのですが、いまは福島県内からの要望もあります。主催者からニーズを聞いて、準備するのでこの程度しか実施できないのです。

3.今後に活かしたいこと

リスクコミュニケーションを通して、信頼関係が築けた人は、今回の事故でもパニックを起こさなかったし、回りの人にも、伝えていたと聞きました。このようなネットワークや、メッセージ作成ワーキンググループ(注1)などの試みが広がればいいと思います。
利害がなければ、人はリスクコミュニケーションの場に来ないです。ですから、いまのようにどんどん開催の要望が来るなんてことは、これまではなかった。来ないので、ベントナイトせっけんづくりなどと、セットにしてすすめていた。事故があって、人の関心が高まって、開催してくれと言われるようになった。
これまでのリスクコミュニケーションの場にも、反対派の人がくることはなかったですね。大きな会場で、全体討議の場で発言してやりこめることはできますが、リスクコミュニケーションの小グループ活動では、そのような力の発揮もできませんから。

ゼロリスク、all or nothingで考えている限り、不安はとれないでしょうね。

4.今後のプログラムなどへの提案

コミュニケーター登録制度があります。120から130人の人がいます。事業所職員の約1割です。また、スタッフの力量や資質をはかる項目があり、模擬リスクコミュニケーションの場で、チェックしたりしています。しかし、コミュニケーターは、本来業務の上に行う追加的業務なので、実践上、日程調整や派遣する人材確保などに難しさがあります。

人材育成の研修講座の枠の一つに入りました。必要性は、社内的にも理解されてきたということでしょうか。

5.その他

「原子力ムラ」という意識はありません。ただ、そうなのかなと、思うことはあります。

(注1) JAEAリスクコミュニケーション室の取り組みとして、住民と事業所の協働によるメッセージ作成のための作業グループ。

【参考資料】
高下浩文氏 原子力のリスクコミュニケーション
http://www.soc.nii.ac.jp/aesj/division/sed/forum/forum2010_2/takashita-kouen.pdf
リスクコミュニケーション室 郡司 郁子氏 「放射性廃棄物ワークショップ全国交流会 in 瑞浪」平成23年3月6日 発表資料
http://www.jaea.go.jp/04/ztokai/katsudo/risk/others/index.html

【参考情報】
2011年4月2日 原発モニター経験者の方に対するインタビュー。jidai.tv
直後に栃木県まで逃げていた東電社員の家族達。自分たちが逃げるということを人には告げずに。
http://www.youtube.com/watch?v=EcF_75slgwk

# by focusonrisk | 2011-07-11 17:39 | 聞き取り調査

用語集 再点検

p-value
○p値

parent population
○母集団

parts per billion (ppb)
○ppb、一兆分率

perception
○認知

picocuries (pCi)
○ピコキュリー

polymer
○ポリマー

polymerization
○重合

population
○集団
(world populationなど、"人口"、"個体数"の意味でも使われている)

ppb, ppm
○ppb, ppm

prevalence rate
○有病率

primary faults
●一次故障

probability
○確率

probability distribution
○確率分布

probability value (p-value)
○p値

proportion
●割合
(2つの数字の比率を約分したり小数で表したりした値)

qualitative
○定性的

quantitative
○定量的

random variable
○確率変数

rate
○率
(速度の概念が入っており、単位の異なる数値の割合につかう)

ratio
●比率
(2つの数値の比率で、約分しないで表した数字)

relative risk
○相対リスク

right-of-way
●公共施設用地

risk
○リスク

risk assessment
○リスクアセスメント

risk assessor
○リスク評価者 

risk/benefit analysis
○リスク便益分析

risk communication
○リスクコミュニケーション

risk comparisons
○リスク比較

risk management
○リスクマネジメント

risk manager
○リスク管理者

risk perception
○リスク認知

sample
○サンプル/標本 
(water sample のように"試料"という意味で使われたり、Sample histogramのように"例"という意味で使われていたりもする)

sampling
●サンプル抽出

societal risk
●社会的リスク

standard deviation
○標準偏差

statistical significance
●統計学的有意性

TD50
○半数中毒量

Threatened
○絶滅危機(種)

Threshold level
○閾値(いきち)

Toxicant
○有毒物質

Toxicologist
○毒性学者

Toxicology
○毒性学

Toxin
●毒素

Tree diagram
○樹形図

Uncertainty
○不確実性

Values
●価値 
 (p-valueなど、"値"という意味で使われている場合もある)

Variability
●変動

Voltage
○電圧

Wildfire
○野火

Wildland
○原野

Wildland/urban interface
○原野と都市の境界

# by focusonrisk | 2011-07-11 17:35