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研究会記録(その1)

日 時:2012年2月25日(土)13:00-16-00
場 所:ERIC事務所
参加者:上田昌文、梅村松秀、角田尚子、上村光弘、高柳葉子、角田季美枝、福田紀子、三宅叶夢
内 容:             
(1)本日の検討課題
(2)ゲーム「ネゴシエート・キラー」の評価
(3)リスクに対するさまざまな立場について
(4)リスクコミュニケーションの評価の視点
(5)評価の共通のキーワード、自由討議

****************

(1)本日の検討課題(ペア/3名)                                   

・ペアないし3名で検討→共有
○ゲーム「ネゴシエート・キラー」の進め方        
○原発の当事者、当事者とは何か 
○リスクの比べ方        
○データの読み方
○リスクに対する立場の違い   
○ガイドラインの検討
○ゲームの評価の視点  
    

(2)ゲーム「ネゴシエート・キラー」(*1)の評価                                               

1)前提:ゲームの目標
生活習慣病のリスクと選択
           =現在の生活習慣病の原因に気づく、改善についての選択肢を知る

2)評価の視点(ひとりずつ→共有)
 a 何を学んだのか、どのように活かせるのか
 b ゲームの進め方(他に進め方があるのか) 
 c ゲームの対象 企業戦士になぜ設定するのか?
  例:高齢者  転ぶのがこわいから出かけない→人とつきあわない
         耳が遠いから人とコミュニケーションとらない→情報が入らない
    厳しい選択の結果「●をとると▲がなくなる」が予想出来るのではないか

3)活動
・a〜cのテーマ毎にグループに別れて検討する(10分)→共有

・共有の内容:

a 何を学んだのか

 •健康管理はリスク管理 
 •自分で選択すること
 •健康に良い事ばかりが人生じゃない?
 •選択力をつける=選択出来る環境を作り出す力
  *自分の選択が通るか通らないかを考えなければならない
   選択とは環境とのインターラクション(相互作用)
   →環境をつくりだす力
 •どんな会社が良い会社か?
   ご長寿会社型
   短期決戦大もうけ型 (3年で人が入れ替わってもよい)
  「会社を評価する」こともできる

b 進め方の工夫

 ●カードを一定の並び方にする
  ・特定のカードは一定のタイミングで出す
  ・最適な並び30枚
  ・昇進値がクリティカルになる並びにしておく
  ・知識系が続くと進行が単調になる
  ・カードの並びが一定であれば比較が出来る

 ●男性型の働き方が想定されている
  ・男性が対象の「つきあい」が多い
  ・セクハラ、パワハラ系
  ・ふりかえりの仕方→女性が不利等
           なぜ、女性が会社で出世しにくいのか?を発問するとよい
  ・子育てや介護との葛藤がない、健康との葛藤のみ
  ・新入男性社員を想定
   健康の事を考えてもらうためには他の様子もあっていいのだが、シンプルな「競争」の方向の方がゲーム的によい
  ・子どもの世話→規則正しい生活→「健康的とは」にはならない
  ・「上司」が負荷、ストレスが高い

 ●同世代(新入社員)を想定しているので世代間に距離がある(年金世代等)
  ・現在の個人データを問われるとリアルになる
  ・血圧
 ・高齢者でもスポーツジムで熱心に運動をしている人等健康志向に差がある
  ・病気になっても家族との関係がふかまってQOLが上がったともいえる

 ●年齢に関わらず健康に気を使う、知っている、行動する、お金をつかう等の差がある
研究会記録(その1)_a0204507_23414149.png

 ●始めに血糖•血圧•コレステロールについてレクチャーがあるとよい
  ・クイズで知識を共有しているので、最初にレクチャーがない
   →まず基本的な事を学んだ方がよい

 ●ゲームノートをつくる
  ・健康に時間、お金、エネルギーをどう使っているのか?
  ・平均的にこうだけれど、自分はどう選択したいのか?
  ・改善のポイント:スコアカードを書いていく。
    *スコアカードをつけると学習効果が高まるが、ゲーム性は減少する

 ●条件カード、チャンスカード
  ・プレイヤーに条件カードを与える  例:血圧 130/70
  ・条件は他の人にはわからないようにする。
  ・ボーナスポイントを設定する。チャンスカードとして3回行使できる
  ・ジョーカーなども考えられる

 ●カムカム→歯の健康について等その機会を活かす
 
 ●人生の転機が健康や昇進と関わらない設定になっている
  ・人生の葛藤、ステップをすごろくに入れる
    「結婚」「子育て」「離婚」「介護」等
    生涯賃金、契約社員などの違い等も検討
 
 ●キラーとプレイヤー
  ・なぜ、キラーは3人必要なのか?
   →3〜4人でのやりとりに期待
  ・キラーは必要なのか?
   キラーの側とプレイヤーの側の学びの差が気になる。
   「キラー側の学び」は何なのか?生活習慣病に関する学びになるのか?
  ・キラーなしで Yes, Noのカードをひいて行うことができるのではないか

c ゲームの設定

 ●現在の生活習慣病の原因に気づいてもらう事
   野菜不足
   不規則な生活
   人間関係

 ●ゲームの対象が企業の社員がターゲットになっている
  ・女性が抱える葛藤がない(子どもとの生活 他)
  ・既存の枠組を強化する懸念、ワーカホリックだったら仕方ない(追認)
    「気をつけて昇進も健康もゲットしよう」というメッセージ
     死なないでゴール(昇進)できる
     その目標設定がゲームの隠れたメッセージがある
     リスクとうまくつきあって勝ち組になろう
     昇進出来ないリスク 2方向のリスク
    「こんな会社ではだめ、会社を変える!」方向にならない
    このゲームで理想の会社をデザインしようということにはならない
 •結局リスクを学ぶということは、リスクを取ってあたりまえ、とならざる得ない
  
 ●ゲーム「クロスロード」(*2)との比較
  ・「クロスロード」はYes/Noで答える
   例:助ける/助けない
     避難所に行く/行かない
     結果を個人が引受けるのでなく、積みあがっていく
   
  ・(クロスロードより)評価が明確
   例:下の二人など順位づけが多い→ 企業社会の基本の測定メジャーに合う

  ・(ネゴシエート・キラーは)現状追認型なので、どの段階でもその企業風土を変えることにはならない

(補足情報)
*1 ネゴシエート・キラーについては以下を参照してください
http://blogs.shiminkagaku.org/shiminkagaku/csij-newsletter_011_comtool_01.pdf
また、市民科学研究室の「ネゴシエート・キラー」開発をめぐる研究報告書(『生活習慣改善ゲームによる健康リスクコミュニケーション手法の改善実践』)には、この学習会の記録も含めて試行の分析・ゲームの改善を提案しています。以下からダウンロード可能です。
http://blogs.shiminkagaku.org/shiminkagaku/csij-newsletter_011_comtool_02.pdf

*2「クロスロード」については以下を参照してください。
http://www.bousai.go.jp/km/gst/kth19005.html
http://www.s-coop.net/rune/bousai/crossroad.html

また、「クロスロード」を実施したときの勉強会(2011年8月20日)の記録も参照してください。
http://focusrisk.exblog.jp/13598766/


(3)リスクに対するさまざまな立場について                                                 
・活動:現在の社会のさまざまな当事者を挙げる。
   2グループに別れる (10分)→共有

●グループ1
 ・原発の当事者って誰?
  膨大な当事者をどのような軸でわけたらいいか
  ■被害 心理的 経済的 物理的 関係的  大—小
   被害が無い

・原発のリスク2つのフェーズ
  ⅰ 事故が起ってしまった上でのリスク
    失業 親が亡くなる 自治体職員の激減 (社会的インフラがなくなる)
    5月 南相馬市の職員が少なくなる 義援金を配布、複数の原則、調査
    予算が下りてきてもこなせない
  ⅱ 事故が起こるリスク  確率は低いと言われていた
    健康被害はこれからおこるリスク

 ・何が考えられるか
  □個々の対応はクリアーできていても、組み合わせた時に見えなくなる
  □反原発の一枚岩にはなりにくい
  □重層的、広域的になるとどう動いていいかわからない
  □問題意識の濃度差  日常=推進派=はこれまで通り 反対に対応していく
             非日常=後退する
  □広報費 メディアが困っている
   子どものポスター展
  □日常の強さ=仕事として連なっている人が多い程「強い」=東電企業が手強い
   電気料金、原発の利益の循環の方法がある
   Business As Usual これまでが続く
  □電気料金=税金の感覚にならされている

●グループ2
 ・ステイクホルダー(利害関係者) vs 自分とのつながり
 ・Actionを起こす? 起こさない?を考える
 ・多くのステイクホルダーを洗い出す事で、変化を起こせる対象や当事者との関係がみえ
 てくる
 ・「変えられない」なぜそう思うのか? 
 ・自分とのつながりを5W1Hで考える
 ・多くのステイクホルダーを分担してアクションや変化を考える


(その2につづく)

by focusonrisk | 2012-04-25 23:46 | 勉強会・記録