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第四回学習会の記録

打ち合わせの段階からすでにほとんどの参加者が揃っていた、ために、まずはその6名で、「これまでできていること・課題」の共有を行い、勉強会のプログラムを考えることにした。

2011年11月12日(土曜日) 打ち合わせ 13時から 勉強会 14時から

【できていること】

■ 日本におけるリスク・コミュニケーションに関連する人々に対するインタビュー

これまで9人に対してインタビューを行なった。
・ 高下 JAEA
・ 大歳
・ 藤垣
・ 石井
・ 浦野
・ 武部
・諸藤
・ 吉川
・ 小林

今回の勉強会に参加している方で、まだインタビューをしていないのは上田さん、金澤さん、今回参加していただいた飯島さん。これらの方々にもぜひインタビューをして、10名以上のインタビューということにできるといいなあ。

だったら、そのような時間をとっておけば良かった。のに。でする。

何人かのインタビューに同行し、また記録を読んでいる福田さんから、これまでのインタビューの結果についての感想が共有された。
「これまでERICが主張し、実践してきた教育や学習に、収斂するものを提示されている気がした。」
ジョン・フィエン氏が「4つの教育は一つ」と指摘した、「人類共通の課題についての教育は、根っこは同じである。問題解決のための(for)の教育として、共通のスキルや態度、姿勢の形成が求められるのだ」。[配布資料1「4つの教育は一つ」配布資料2「未来のための教育」]

■ 勉強会
これまで3回行なって、PLTのアクティビティ、そしてクロスロード、ツールボックスなどのアイデアを共有し、検討してきた。今後はPLTのモジュールの翻訳をすすめながら、アイデアを形にしていくことが求められる。

■ PLTモジュールFocus on Risksの翻訳
田中さんが中心になってすすめている。12月中には第一校があがる予定。

■ 文献・資料探索、収集
つのださんがまとめてくれている。
これまでの勉強会でも共有した。GCSE サイエンスなど。
「12のものの見方・考え方」は役に立つ。

■ FoRブログ
5月に開設してから953名、毎日10名前後が訪問している。自分たち自身にとっても、いつでもどこからでもアクセスできる便利な場所だ。インタビューの記事などはご本人の確認を受けた後にアップしているので、多少時間的なずれはあるが、公開の場であるためには当然の配慮だ。
今後はPLTの翻訳も、相互チェックが終わった段階で順次アップしていく予定である。
■ メーリングリストができている。
■ アクティビティ実践をやった。中高生に対して実施し、人気が高かった。(金澤)

【課題】
・ 現在のメンバー構成がわからない。
・ それぞれのニーズや目標がわからない。
・ インタビューに参加できずに残念。
・ コンセンサス会議とリスク・コミュニケーションの違いは何?
・ リスク・コミュニケーションの教材、教育内容ともに課題が多いことがわかった。
・ 翻訳ではなく日本版を作る必要がある。
・ このプログラムを使いこなす人を養成するためには、クリシン・ボックス アイデア集よりもっとていねいに書く必要がある。
・ 日本人に「リスク」という概念が欠けている。

などなど、そもそも論も出てきてしまったが、今後の対応として

◯メンバーをまとめる。共有する。→メーリングリストで「ご協力感謝メール」として出す。
◯今後、これまで研究会に参加してくださった三名のリソース・キー・パーソンに対して行なうインタビューは、アイデア集やテキストのまとめの段階に順次行ない、一連の勉強会の内容などについての評価も交えながら、行なうこととする。時間を前もって決めておくことで、なるべくたくさんの人が参加できるように配慮する。

その他の課題については、今回の勉強会の中で扱いました。

お遊びで「全国都道府県幸福度ランキング」を共有。自然度、文化度などへの配慮のない項目設定に、若干あきれ気味。

勉強会記録

プログラム
1.クロスロードの体験
2.リスク・コミュニケーションとその他のコミュニケーション・ツールや方法論を比較し、リスク・コミュニケーションの特徴を洗い出す。
3.リスク・コミュニケーションの人材育成のためのカリキュラムに含まれるべき要素の洗い出し。
4.人材育成カリキュラムのアイデア
5.ふりかえり

記録
1.クロスロードの体験
かくたが40名の高校教員を対象に行なうために作成した簡易バージョンの体験とゲームの検討。「青ザブトン・金ザブトン」ではなく「スコアカード」を準備した。カードがある方が、ふりかえりを行いやすい。
また、状況カードを真ん中に山積みにして順番に引いて行く方法で行なった。
吉川先生との勉強会では出てこなかったポイントがたくさん出てきた。
・ スコアカードは好評。ただ、活動の焦点が「点数」に向きやすい。
・ 山積みより、一人ひとりに配って、順番に、自分が選んだカードについて全員がYes,Noを明確にする方がよい。
・ 少数派に5点を与える現在のルールは「多数派を予想し、多数派になることが目的」であるゲームとしては矛盾した構造になっている。少数派の場合は「-5点」にすべき。
・ かくたの実践は「多様性トレーニング」になるので、その場合は「少数派」に高得点を与えるのでよいと思う。
・ 一枚のカードごとに、何を話し合うのかが、明確でないので、どんどん枚数をこなしてしまう。
・ この一つのゲームだけで二冊も本が出ていることが驚きだ。

2.リスク・コミュニケーションとその他の社会的合意形成のための方法論との比較
第四回学習会の記録_a0204507_13573349.jpg


3.カリキュラムに含まれるべき要素の洗い出し
 ペア作業で行なったが、それぞれに実施の形式もイメージがあったようなので、4の課題も同時にできていた。

【リスク・コミュニケーション指導者育成 2日間コース】
・ 高校生以下でもわかる、しかし、数学や化学、科学の基礎はある程度ある人を対象。
・ リスクについての知識
・ 日本の教育の現状、学習指導要領、教科の縦割り、学際的に教えにくい現実などをイントロダクションに入れて行く。
・ 教育者育成の体系や枠組みを入れる。
以上をふまえて、ERICの主催研修に取り入れることのできる「リスク・コミュニケーション指導者育成講座」は以下のようなものになるだろう。
セッション1 共通基盤づくり
・ 過去の共有「市民社会におけるコミュニケーションの失敗」
・ いまの教育にできていること、課題
・ リスク・コミュニケーションのなりたつ社会とは?セッション4 プログラムづくり
セッション2 リスクについてのアクティビティ体験
・ リスクって何?
・ 確率を理解する
・ 個人的リスクと社会的リスク
・ 未来のシナリオセッション5 アクティビティ実践
セッション3 なぜ、リスク・コミュニケーションを参加型で教えるのか
・ ふりかえり
・ 参加型学習の特徴と指導法
・ 指導者に求められるもの
・ 本トのインタビューセッション6 行動計画づくり

あるいは「フューチャーサーチ会議」の構造を取り入れることも可能である。
セッション1 共通基盤づくりセッション4 未来のシナリオ
セッション2 過去の共有セッション5 行動計画づくり
セッション3 現状分析セッション6 リスク・コミュニケーションのプログラム・カリキュラムに求められるもの

【半年間コース 6時間/日×6日間】
カリキュラムの柱
A.知識
(ア)過去の失敗、市民社会におけるコミュニケーションの歴史
(イ)科学的知識
(ウ)リスク管理についての知識
B.スキル
(ア)コミュニケーターとしてのスキルトレーニング
(イ)市民同士が話し合えるファシリテーターのスキル
(ウ)カリキュラムやプログラムをつくる力
(エ)実習しPDCAのサイクルで改善する力
C.態度「バカになる」
D.価値観 HaveからBeへ。ESDの価値観。

【2年間コース 一年目は基礎、二年目は実践】
カリキュラムの柱
◯コミュニケーション能力
◯日本社会におけるコミュニケーションの歴史「もの言わぬ歴史」
◯社会的合意形成、社会調査の方法論についての理解
・ コンセンサス会議
・ フューチャーサーチ会議
・ PRA
◯PLT FoRのアクティビティ体験
◯リスク・コミュニケーションのニーズ調査
◯アクションプラン作り
◯卒業課題として地域でのリスク・コミュニケーションの場づくり

一年間を大学の単位で考えると30コマ×1コマ90分=45時間
二日間12時間研修であれば、4回分程度。

一コマ二コマ三コマ四コマ五コマ
前期第一旬
第二旬
第三旬
後期第四旬
第五旬
第六旬

大きく6つの旬に分けて構成するとすれば、
一旬が1泊2日程度。つまり年間6回の1泊2日としても実践可能。

◯コンセンサス会議は半年間にわたる流れなので経験することは難しい。
◯フューチャーサーチ会議は2泊3日で実践可能。
◯PRAはコアの部分を2泊3日で、地域へのフィードバックを含めて1週間の流れで実践可能。
◯その他、世界銀行のParticipation Sourcebook, 1996には以下のような方法論が紹介されている。
・ AIC Appreciation-Influence-Control
・ Objectives-Oriented Project Planning(ZOPP)
・ Team Up
・ Participatory Rural Appraisal(PRA)
・ SARAR , http://books.google.co.jp/books?id=N9TN6eiISYEC&pg=PA296&lpg=PA296&dq=SARAR%E3%80%80Participation&source=bl&ots=UzJkH7acUz&sig=BPSOMpa86_kBmJdhi4y0vXAGQPw&hl=ja&ei=36TAToH6Mc_jmAWltKiKBA&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=2&ved=0CCcQ6AEwAQ#v=onepage&q=SARAR%E3%80%80Participation&f=false
・ BA Beneficiary Assessment
・ SCC Systematic Client Consultation
・ SA Social Assessment
・ GA Gender Analysis
◯OXFAM Gender Training Manual

ERICでは、Gapジェンダー・アウェアネス・プログラムを開発する時に、これらの多くの方法論を勉強会などで検討。よいと思われる要素はGapの中に取り入れた。

【今後の課題】
指導者育成の実践の場を作り出す。
大学での実践を検討する。
来年度のERIC主催研修に取り入れる。
引き続き、助成金を獲得する。

by focusonrisk | 2011-11-21 13:55 | 勉強会・記録