「シリアスゲームを体験しよう!」勉強会記録

1 実施日時

日時:2011年8月20日(土)14:00~17:30
場所:ERIC事務所
参加:田中、高柳、つのだ(以上ERIC)、上村、杉野、江間、上田(以上CSIJ)

2 開催の目的

シリアスゲームとは、デジタル技術をつかった、社会問題(学習・医療・福祉や環境など)の学習や啓発を目的としたゲームをいいますが、今回はERIC(国際理解教育センター)のリスク連続学習会、日立環境財団助成プロジェクトの活動として「クロスロード」を体験し、今回の震災等をテーマとした「クロスロード」開発可能性の追求をしたいということと、CSIJ(市民科学研究室)の科学技術コミュニケーションツール研究会が開発したゲーム「ネゴシエート・キラー」を科学技術コミュニケーションツール研究会メンバー以外にトライアルして改善課題を探究するということを目的に会合を開催しました。

3 当日のプログラム

(0 大ナマジンゲーム体験)※
1 本日の趣旨説明(つのだ)14:00~
2 自己紹介「私が一番好きなゲームは・・・」14:05~
3 本日のスケジュール、ERICという場所の案内、コピー代14:25~
4 クロスロード体験(ゲームのやり方・ルールの説明、体験、ふりかえり、アンケート記入)15:30~
5 休憩 15:20~
6 ネゴシエート・キラー体験(アンケート記入、ゲームのやり方・ルールの説明、体験、ふりかえり、アンケート記入) 15:35~
7 あとかたづけ 17:20~17:30

※予定されていた参加者がそろうのを待つ間、家庭の防災アクションを確認できるスゴロク「大ナマジン」を実施しました。ERICには非常食は一部あるものの防災キットがないことが判明! 事務所の防災対策を考えるきっかけとなりました。

4 クロスロード体験記録(※クロスロードは市民編を体験)

(1)クロスロードとは
クロスロードは防災学習を目的としたカードゲーム。ただしいまは防災以外のテーマも広く開発されている。
 http://www.s-coop.net/rune/bousai/crossroad.html

(2)進め方
・参加者ひとりずつ自分のもっている問題カード(10枚)を一枚選んで読む。一度読まれたカードは読むことができない。
・カードで示された選択肢について、他の人の意見を予想して他の人はどう選択するのか判断してyesかnoのカードを出す(裏返してカードが出揃ったら表にする。1人だけ少数意見を出した人には金座布団チップをゲットできる。それ以外の人は青座布団のチップをもらう。少数意見が1人出なかった場合、多数意見の人のみ青座布団のチップをもらうことができる)
・カードを読むのは2巡で終わり。
・ひとつずつの課題の結果を見ながら意見を交換することもできるし、全体をふりかえって意見交換をすることもできる。

(4)今回の結果
1)読まれたカード番号.とyes、noの数(カードの詳細設定については省略)
1 5013(あなたは母親;わが子か目の前の人か?)yes5 no2
2 5020(ボランティア団体の代表:ボランティアを注意する?)yes3 no4
3 5016 (受験生:受験勉強を優先する?)yes4 no3
4 5004(市民:地震保険に加入する?)yes5 no2
5 5001(共働きの30歳代夫婦:それでも自治会に入る?)yes3 no4
6 5008(父親〔一般企業の課長〕:家族の安否が先?)yes7 no0
7 5019(被災者:宗教への勧誘に応じる?)yes0 no7
8 5009 (市民:ペットを一緒に避難所に連れて行く?)yes2 no5
9 5002 (主婦:残り湯をためておく?)yes5 no2
10 5007(川沿いの集落の住民:今すぐ避難をはじめる?)yes4 no3
11 5006(海辺の集落の自主防災組織リーダー:未避難の一家族を探しにも戻る?)
yes4 no3
12 5003(30代の夫婦:耐震金具を家具につける?)yes5 no2
13 5005(海辺の集落の住民:おばあさんを見に行く?)yes4 no3
14 5012(高齢者:マンションの耐震診断を受ける?)yes4 no3

2)青座布団・金座布団獲得数
(1)金座布団:誰も獲得できなかった
(2)青座布団(多い順):田中14、上田12、高柳12、杉野10、上村10、つのだ6、江間4

3)ふりかえりでの問いかけなど
*なぜ田中さんが一番多く獲得できたか?(田中さん以外に)→その意見を聞いて田中さんはどう思ったか?
*なぜ江間さんが一番少なかったか?(江間さん以外に)→その意見を聞いて江間さんはどう思ったか?
*どんな意見が一番意外だったか?
*yesかnoを出すのに一番迷った課題は何? それはなぜ?
*どんな問いがあったらいいか?
*他の人の意見を予測するという前提だったが、「自分の意見」であればYes/Noは変わったか? それはなぜか?
*そのほかどんなことを思ったか? それはなぜか?
*その他、ふりかえりで意見が出なかったが、解説書で推奨されているふりかえり(ルールを変える、yes/noそれぞれの問題点を考える、専門家がすすめる行動に対して「いやだ!」と言って理由を考えてみる等々)の紹介も行なった。

5 クロスロード感想シートより(5人から)

Ⅰ ゲームの中でのまわりの人の「決断」についての感想

(1)意外だった決断の出た課題と(2)その理由

・5006の課題(津波の危険)。防災担当者リーダの立場で一家族が見当たらない時、探しに戻るのか? 4対3で割れた。
・避難所にペットをつれていくかどうか。「ペットは除外」の原則はあり得ると思うが、避難所ごとに柔軟に判断できるところがたくさんあるように思う。避難生活のルール作りをする上でも良いきっかけになる。
・「家族より部下の安否を優先するという上司の判断」を問う課題。「仕事優先」ととらえる人が多かったのは、ちょっと違う。むしろ「仲間優先」というべきではないか、と思いました。
・なし
・無記入1人

Ⅱ 他の人の意見で「なるほど」と感心した、あるいはためになると思った意見

(1)どの問題か(2)具体的にどのような意見か

・5008、外国の人の意見をきいてみたい
・防災リーダーの役割を問うカード。「リーダーは現場を動いてはならない」という原則が重要であることを改めて知った。
・「宗教をすすめられたら信者になるかどうか」という問題があり不思議でした。話し合ってみて、(ゲームとしてはつまらないかもしれないが)「現実における問題だから取り上げた」ということがよくわかりました。
・無記入2人

Ⅲ クロスロードをやってみて楽しかったか

・楽しかった 4人
・どちらかといえば楽しかった 1人

Ⅳ その他

・バックグラウンドが様々な人たちとやってみると面白そう。
・話し合いができるところが良い。
・無記入3人

6 クロスロード実習会アンケート(5人から)

1 職業
・NGO/NPO関係 2人
・団体職員 1人
・会社員 1人
・無記入 1人

2 防災担当者かどうか
・担当者でない 5人

3 住んでいるところ
・東京 3人
・千葉 1人
・神奈川 1人

4 クロスロードの感想、改良点、問題点
・在日外国人関連のQuestion Cardが欲しい(例えば、3.11の際、横浜駅に避難した外国の方々が言葉がわからず、状況が把握できなくて困っていることがあった。駅員もパニクっていて英語やその他の言語で対応できていなかった)
・yes、noカードだけは「いじる」回数が多いので他のカードよりも丈夫に作ったほうがいいと思います。
・保険や耐震補強といったことはできればyes/noで判断をする前に簡単な説明があってもよかったのではないだろうか
・シンプルでわかりやすい
・ひとつ毎のカードで議論できていい
・自分のカードを増やすこともできそうだ→ゲームの拡張
・おもしろく予防として学べました。カードのすかし文字はもっとうすい方がいい。少々字が読みにくい
・災害の起こったところで性暴力が起こるので、そのことをいれたQがあって欲しい
・障害をもっている方(大人でも子どもでも)が避難することもあるので、そのことを入れたQがあって欲しい
・心のケアーについてのQがあって欲しい
・ボランティアの人が死体を見てしまったとか、ボランティアの人が別の何か被害にあってしまったとか・・・・・
・空白のカードがあって自分たちの仲間でやるにふさわしいのを書き込めるといい

5 日常の職務や業務、日常生活でのジレンマ
・実際に被害した際の水、食料、インフラ・・・・・・の深刻な問題もうまく組み込めればよいのではないか
・人を助けるか自分の安全を守るか
・自分が今しかできないことは何か、自分がずーっとできることは何か。今しかできないことで継続が必要なのにそれをしていいのか? 自分の満足か?
・無記入3人

7 ネゴシエート・キラー体験

市民科学研究室の「科学コミュニケーションツール研究会」が開発した、生活習慣病予防のための健康管理ゲーム。このゲーム開発は、次の助成を受けています。
http://www.fost.or.jp/

本体験は、別の助成金を受けた研究活動であるため、内容やふりかえりなどを紹介することができませんので、ゲームの概要や結果を紹介するにとどめておきます。

新入社員が日常の勤務状況、上司・顧客との関係、食生活、睡眠などの選択肢を選ぶと、3つの「キラー要素」(血圧、血糖値、コレステロール値)の数値が上がり、健康リスクが上昇するという設定。キラー要素3人、新入社員3人とわかれて、新入社員3人はいかに脱落しないで(死亡しないで)早くゴール(昇進)に達するかをスゴロクゲーム方式で競います。

時々に肥満など健康悪化の説明カードがあり、生活慣習病に関する健康知識を学習できるゲームとなっています。

当日は、キラー役が杉野、上村、つのだ、新入社員役が田中、高柳、上田、解説者江間という役割で進めましたが、いちはやく脱落したのは上田さんでした。高柳さんが退席されたあとを再び上田さんが引き継ぎましたが、はやくゴールに進みたいと「次のカードの内容を全面的に受け入れる」というコマでOKとしたとたん、あるキラー要素の上昇があり、またも脱落となりました。

キラー役としてこのゲームを体験したつのだの個人的な感触ですが、田中さん、高柳さんともしっかり生活を自己管理して、なかなか脱落しませんでした(時間内にゴールに達することもできませんでしたが)。職場での出世に必ずしも重きを置かない価値をもっている人だと迷わないという点もあるでしょうし、新入社員ですとまだ生活の自己管理を公私とも一貫できる人はいませんから(今の若い世代は逆に公私きっちり分けているという意見もありましたが)、大学生が実施してみるともっと現状を反映したトライアルになるかもしれません。
また、ゲームは実施するメンバーがいろいろな考えをもっているという気づきにつなげるツールになるばかりではなく、「遊び」であえて自分とは異なるいろいろな役割を演じることもできるので、ロールプレイの側面もあると感じました。また、「勝ち負け」のこだわると、開発者が意図しているテーマ学習になりにくいという面もあるので、「勝ち負け」ではない楽しみをいかに埋め込めるかが鍵かもしれません。

                                                  (文責:角田季美枝)
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by focusonrisk | 2011-09-15 23:02 | 勉強会・記録