環境情報コミュニケーションズ 大歳幸男氏

実施日時  2011年6月27日 16時から17時30分
対象    (株)環境情報コミュニケーションズ   大歳幸男さま
聞き取り調査者  *角田尚子、梅村松秀、角田季美枝、福田典子
点検の視点資料「環境教育としてのプログラム評価の視点」第一次とりまとめ

1.現在の日本社会におけるリスクコミュニケーションの課題

わたしが専門にしているリスクコミュニケーションは化学工場と近隣住民の間をつなぐもの。現在、化学工場から排出されるリスクは決して高くない。住民にとってはほとんどわからないし、においなどが気になるなどの具体的な事柄がない限り関心も低い。PRTRをきっかけにリスクコミュニケーションを日本でも普及させようとしてきた。健康影響がない限り、求められない。環境における化学物質の問題について、授業でとりあげてもらえるように働きかけていくことも必要だろう。

2.日本社会に対しての貢献

環境リスクを低減させる、汚染を少なくするというような住民ニーズと企業とをつなぐことはできてきたのではないか。

3.今後に活かしたいこと

コミュニティを自分たちで守るという意識がない。すべて法律や行政による規制にたよっている。だから住民・企業・行政という三者によるリスクコミュニケーションのニーズがない。工場に対する要望を聞いても、「通勤の車による渋滞問題」のような話が出てくる程度。
地域の団体、町内会なども、そのようなコミュニティ意識があるわけではない。
まわりに住民がいないところで操業を開始したのに、住宅地開発がすすんで、対話が必要となるといったケースが多く、住宅地にこれこれしかじかのリスクのある施設を作りたいから、リスクコミュニケーションから入るというようなケースは少ない。

4.今後のプログラムなどへの提案

沈黙の春などDDT、ダイオキシン問題など、環境における化学物質の問題提起からリスクコミュニケーションは始まっている。行政が法制度を整備することで対応してきた。ハザードマップや工場の情報公開などをすすめようとしたが、テロの対象になるのではないかなど、公表はすすんでいない。
震災が化学工場に与えた影響など、今後明らかになるだろう。
リスクコミュニケーションとは、平常時のもののことで、事故時は、出た物質の残留性や風向きや避難指示などが優先される。重金属の流出などもあるだろうから、理解をすすめる上で、いいチャンスだ。これまで、リスクコミュニケーションと言いながら、行政が上から教えようとしてきた。自分たちで議論するためのハンドブックのようなものがあればいい。

人は「最初に聞いたもの」を信じる。リスクコミュニケーションで大切にしたいことは「これらのことを聞いて、あなたはどう思うか?」なのだが、最初の壁はなかなか変わらない。背景にはリスク・リテラシー、コミュニケーション能力、メディア・リテラシーなどの問題があるだろう。日本の「権威」に弱い風土もあるかもしれない。

多様性を尊重する文化へと、日本は抜け出せていない。
自分では考えようとしない。立場で考える。最初の刷り込みから抜け出せない。
合意形成のためのプラットフォームづくりが下手。

いま、大学生を対象に、リスクコミュニケーションの基盤づくりを試みているが、同じような壁を感じている。
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by focusonrisk | 2011-07-11 17:41 | 聞き取り調査